反響を呼ぶリアクティブコンテンツを制作する方法

  エージェンシー, 企業

ブランドと消費者をつなぐプラットフォームや手段の増加にともなって、オンラインでのコミュニケーション量も増えました。コミュニケーション量の増加はすばらしいことだと思われがちですが、実際のところ、コンテンツが他に埋もれやすくなっており、SNS、ブログ投稿、デジタルPRキャンペーンなどでターゲット層にリーチすることがますます難しくなっています。

リアクティブコンテンツ(旬の話題に反応して便乗するコンテンツ)は、オンラインで顧客のリーチとエンゲージメントの増加を促す方法として効果的です。そうした便乗の機会(ここでは、“好機”と呼ぶことにしましょう)は、ブランドの認知を高め、ウェブサイトへのトラフィックを増やすのに適しています。

HIGHSNOBIETYのブログ投稿

HIGHSNOBIETYのブログ投稿

この画像は、ベルリン発のメンズオンラインメディアHIGHSNOBIETY(ハイスノバイエティ)が2018年FIFAワールドカップ™のファッションについて投稿したブログです。一見普通の投稿のように見えますが、W杯の盛り上がりを活かして注目を集めることに成功し、Facebookのシェア数217件、Twitterのシェア数47件、被リンク数10件を獲得しています。

ブログで提供されている情報はすべてオンラインで入手できるので、このコンテンツ制作は簡単だったと思われます。資料やインターネットを少し調べる昔ながらの方法で、少ない予算で質の高いコンテンツを制作した典型例だと言えるでしょう。しかし、このコンテンツの投稿が最適なタイミングで行われていなければ、これほどのエンゲージメントを獲得することはなかったでしょう。

オーディエンスの趣味/関心や自社の業種と関係のあるイベントについて調べ終わったら、次は反響を呼ぶリアクティブコンテンツをどうやって作るか考えていきます。

マーケティングツールへの投資|機会を評価する担当者の指名

ほとんどのブランドや広告代理店では、SNSのチェックやメディアのモニター、そして、検索データに起こる変化の追跡などを行うツールやプラットフォームに投資が行われています。しかし、投資だけではなく、プロセス自体を合理化することも考える必要があります。ブランドのメンション数やマスコミの報道数が急上昇したときに、その機会をうまく活用できる状態にしておくことが大切です。

アラート機能や通知機能を使って、機会を逃さないようにしましょう。また、プロセスの自動化や、担当者を指名する方法についても考えましょう。ほかにも、顧客に関連するトピックを入手するために、ソーシャルリスニングレポートの活用や、ジャーナリストからのリクエストやGoogleアラートの受信登録も検討しましょう。

プロセスが自動化されれば、機会をすばやく察知できるようになるため、その機会から有益な結果を生み出すチャンスがブランドに生まれます。担当者にはクリエイティブな発想力があり、便乗する価値のある機会かどうかを判断できる人物を指名するのが理想的です。

テンプレート化/自動化/制作効率化

好機に便乗して制作するリアクティブコンテンツの用途が、SNSやブログにせよ、作業工程を自動化しておくとリードタイムが短縮されるため、結果として別の仕事を行えるようになります。たとえば、イギリスの大手メガネチェーン店Specsavers(スペックセイバーズ)が2017年アカデミー賞®授賞式中にツイートしたこちらの画像は、ボタンを押すだけの簡単な操作で投稿時間をあらかじめ設定していたものです。メガネがなくて受賞者名の書かれたカードを読めないことをうかがわせる「Should’ve gone to Specsavers(スペックセイバーズに行っておくべきだった)」という文章が絶好のタイミングでツイートされたことで話題を集めました。

アカデミー賞®の機会を活かしたSpecsavers

アカデミー賞®の機会を活かしたSpecsavers

広告代理店のマーケターだけでなく社内マーケターにとっても、テンプレートの作成は自動化ツールのひとつとして重要です。テンプレートの作成には、次のようなものが挙げられます。

  • SNS投稿
  • SNS用の画像(カバー画像/イベント画像/投稿画像)
  • ブログ投稿
  • プレスリリース
  • アウトリーチメール

上記の各カテゴリーでは、パーソナライズした数種類のバージョンでテンプレートを用意して、作業工程をさらにすばやく行えるようにします。このようにして作業の流れを管理すると、SNSの投稿予約を行う担当者であれば、適宜、投稿を最初から作成する必要がなくなり、用意された投稿を参考にして調整を加えるだけで済むようになります。予約ではなくリアルタイムの投稿用に画像を準備しておくことも可能です。アメリカンフットボールの祭典「スーパーボウル」でOreo(オレオ)が行った投稿は、その一例です。かなり前の投稿ですが、SNSのリアクティブコンテンツとして成果を収めた好例です。

スーパーボウルの停電中にすばやく反応したOreoの投稿

スーパーボウルの停電中にすばやく反応したOreoの投稿

2013年、スーパーボウルの開催地ニューオーリンズで大規模な停電が発生しました。Oreoのマーケティングチームはこの機会に便乗して、暗闇の中に写るオレオクッキーの画像をツイートしたのです。その画像に「You can still dunk in the dark(暗闇でもダンクできる)」という文章を付け、アメリカンフットボールのゴールパフォーマンスの“ダンク”と、お菓子をミルクなどの飲み物に浸す行為を意味する“ダンク”を掛け合わせたことで、SNSで多数のエンゲージメントを獲得しました。この投稿ではおそらく、テンプレートが使用されています。画像、フォント、ロゴのいずれも準備されていて、絶好のタイミングで使用されたのでしょう。マーケティングチームは、画像のちょっとした変更と文章の入力を行っただけです。

承認作業の効率化

キャンペーンやマーケティング戦略の成功を左右するのは、リードタイムだけではありません。承認の遅れも、好機を失う主な理由のひとつです。象徴的ビジュアルを使う方法があります。

  • 社内マーケターとブランドとの間や、広告代理店のマーケターとクライアントとの間での承認作業は、追跡確認できるようにし、同意の上で行われるようにする。承認担当者を明確に特定できるようにし、休暇不在中に代役を務める人を決めておく。
  • 承認工程数を減らし、全関係者に承認工程を遵守させる。
  • フィードバックを速やかに得られるようにし、修正をすばやく行えるようにする。
  • 関係者間の信頼度によっては、承認に必要な条件を除外してリードタイムを大幅に短縮できる(ただし、当然ながらリスクが伴う)。

こうしたガイドラインに従って作業工程を効率化し、通知を受信してからコンテンツを投稿するまでのリードタイムを短縮すれば、便乗できる機会をさらに活かせるようになります。

文:アリス・ゴートン(Croud・コンテンツエグゼクティブ)

この記事は、アリス・ゴートン(Alys Gorton)がThe Drumで執筆しました。パブリッシャーネットワークを行うNewsCredを通じてライセンスされています。ライセンスに関するご質問は、legal@newscred.comへ直接ご連絡ください。